多くの英文校正会社では、文法・語彙を中心とした校正(スタンダード校正・ノーマル校正など)と、内容に深く踏み込んだ校正(プレミアム校正・アドバンス校正など)の2種類が提供されています。
上記サービスの内容は、校正会社により差異がありますが、現状としては、サービス利用者にとって「何が違うのか」が非常に分かりづらい状況となっています。
そのため、この特集ページでは、文法・語彙を中心とする英文校正について、主要な業者のサービスを比較していきます。
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サービス名 | 校正内容 | 校正者 | 単価/納期 (1500語) |
単価/納期 (4000語) |
単価/納期 (7000語) |
割引プロモーションなど | 消費税 | 校正の最低発注料金 | 支払いタイミング | 公費・科研費対応 | 再校正 | 単語数削減 | 投稿規定に合わせたフォーマット調整 | 参考文献のチェック | 英文校正証明書 | 付帯サービス | TeX/LaTeX | その他 |
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スタンダード英文校正 | 文法、英語構文、語彙選択、専門用語の使用法など、英語を言語面からチェック。文レベルでの校正となり、論文全体の論理・流れには踏み込まない。 | 学術分野専門の英語ネイティブ2人 | 6〜18円 当日〜11営業日 |
6〜18円 当日〜11営業日 |
5.5〜18円 当日〜11営業日 |
紹介割引15%オフ | +10% | 無し | 後払い | ○ | ・校正注文時に+2円/単語のプラン選択で、365日以内の再校正一回(修正量の上限無し) ・全体再校正は60%割引 ・部分再校正は単語数×単価で請求 ・当日・翌日プランは再校正一回無料 |
総単語数の10%まで | 〇 | 整合性チェック(参考文献にリストアップされている文献が、本文内で正しく引用されているかどうか) | 〇 | ・校正者への質問サービス ・担当校正者からの英語アドバイス |
TeX/LaTeXの直接校正可(追加料金なし) | |
ノーマル英文校正 | 表現や文法など、英語として正しいかを、言語面からチェック。 論文の構造に踏み込んだ、大幅な書き換えや内容の改変は行わない。 | 学術分野専門のネイティブと別のネイティブ校正者の2人 | 4.5〜18円 当日〜12営業日 |
5〜18円 当日〜12営業日 |
5.5〜18円 当日〜5営業日 |
・新規利用者15%オフ ・600円~1500円相当の紹介割引(紹介者と紹介された方の両方) ・ポイントで割引可 |
不課税 | 無し | 後払い | ○ | ・追加料金+2円/語(当日と24時間以内の場合無料)で、120日間の再校正保証(原稿全体の30%程度の修正まで。新規追加分は対象外。別ジャーナルのフォーマットへ再調整も可。) ・全体再校正は50%割引(30%までの修正まで) ・部分再校正なし | 総単語数の10%まで | 〇 | 整合性チェック(参考文献にリストアップされている文献が本文内で正しく引用されているかどうか)。また、投稿規定のフォーマットに準じているかをチェック | 〇 | ・校正者への質問サービス ・原稿評価カルテ(簡易版1ページ。校正対象原稿の単語数が1000語未満の場合提供されない) |
TeX/LaTeXの直接校正可(追加料金なし) | |
英文校正 | 基本的には、スペル、文法、語彙の選択など言語面を中心としたチェックが行われる。担当エディターにより、文の書き換えや、論文の流れの改善、内容についての指摘など、より深い校正がなされる場合もある。 | 近接専門分野の英語ネイティブ1人 | 4.5円 (3営業日内) 6.75円 (1営業日内) |
4.5円 (6営業日内) 6.75円 (2営業日内) |
4.5円 (9営業日内) 6.75円 (3営業日内) |
ボリューム割引10% (1万語以上の場合) |
不課税 | 1000円 | 後払い | ○ | ・再校正を希望する部分を部分校正として受付(再校正部分の単語数×単価) | △ 目安として対応。 予め制限単語数に近い原稿を入稿しておけば、制限内に収める事は可能。 |
△ 大きなフォーマット調整が必要な場合は、コメントでの指摘となる |
投稿規定のフォーマットに準じているかをチェック | 〇 | 校正者への質問サービス | ☓ | |
英文校閲レベル1 | 句読点、綴り、文法、基本的な接続詞及び語法のチェックを行う。文章構造、一貫性、論文の論理や流れには踏み込まない。 | 校正者はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア出身のネイティブスピーカー。論文分野を専門とする校正者1人が原稿を担当。(英文校閲レベル2から、担当校正者が2名となる。) | 5円 (3〜7日) 納期短縮サービスは、納期等により追加料金+20~100% |
5円 (3〜8日) 納期短縮サービスは、納期等により追加料金+20~100% |
5円 (3〜11日) 納期短縮サービスは、納期等により追加料金+20~100% |
学生割引(Full paperの場合、10%までの割引) | 不課税 | 9000円 | 後払い | ○ | ・原稿全体の再校正(5円/語)(原稿の語数が10%を超えた場合、追加料金が必要となる) ・校正希望箇所の部分校正(元の校閲レベル料金適用) |
× | オプション (+15000円/時間) |
オプション (+15000円/時間) |
× | 校正者への質問、修正点のチェックサービス | TeX/LaTeXの直接校正は× MSワードに正確に変換しての校正は追加料金+20%(PDF版とのクロスチェック含む) |
・クレジットカード及びPayPalの場合、+3%の追加手数料 ・銀行振り込みでの支払いは国際送金となる。 ・医学・薬学の関連分野は20%の追加手数料が必要。 |
スタンダード校正 | スペル、文法、句読点、語の使用法などのチェックが行われる。論文の論理や流れには踏み込まない。 | 学術分野専門の英語ネイティブ1人 | 17.89円 (4営業日) 22.36円 (2営業日) |
9.99円 (5営業日) 13.48円 (2営業日) |
7.17円 (5営業日) 9.39円 (2営業日) |
・毎回20~50米ドルの割引クーポン発行 ・友人紹介プログラム:40米ドルのクーポンコード(紹介した相手が、初めてAJEで英文校正を利用した場合) |
不課税 | 75米ドル | 前払い及び後払い可 | ○ | ・校正料金から40ドルの割引(全体再校正および部分再校正の両者に適用される。) ・部分再校正の場合、再校正を希望する部分が校正単語数としてカウントされ、校正料金表に適用される。 |
× (校正前の原稿が単語数制限に迫っている場合、制限を超えないよう、事前に伝えておくことは可能) |
オプション 125米ドル |
オプションのフォーマット調整サービスに含まれる。整合性チェック(参考文献が本文内で正しく引用されているかどうか)、投稿規定のフォーマットに準じているかをチェック | 〇 (意味の把握が困難な箇所が多く含まれる場合、証明書の発行のため、著者にリライトを要請することがある。リライト後の再チェックは無料で提供される。) |
校正者への質問サービス | TeX/LaTeXの直接校正可(追加料金なし) | ・銀行振り込みでの支払いは国際送金となる(電信手数料25米ドルが別途加算される)。 |
このセクションでは、各社サービスの特徴、他社と比較した優劣のポイント等を記述しています。
専門分野のネイティブ2人による校正
投稿規定に合わせたフォーマット調整が無料
部分校正で再校正を行うことが可能
TeX/LaTeXの追加料金なし
エディテージのスタンダード英文校正では、比較表の中で唯一、分野専門家2人によるサービスを提供している。そのため、分野独特の語の用法など、専門外の者には分かりにくいポイントについても、二重の確認が行われることになる。
また、スタンダード英文校正では納期が細かく設定されており、希望納期と予算に合わせてプランを選択することが出来る。締め切りまで余裕のある場合には、長めの納期で校正料金を抑え、急ぎの場合には、当日中や翌日に校正原稿を受け取ることが可能となっている。特に、翌朝10時半納品は、夜11時までに入稿すれば、日本の深夜時間帯に校正・確認作業が行われ、すべての作業が早朝には完了している。ぎりぎりのスケジュールで執筆作業を行っている場合には、有用な選択肢となるだろう。
原稿全体の再校正については、比較表の校正会社中、最も割引率(60%)が高くなる。最初から再校正を想定している場合には、前払いプラン(+2円)を選択することにより、実質的に上記以上の割引率となる。部分的な再校正も可能だが、この場合には、校正部分の単語数×校正プラン単価が料金となる。
校正者二人が一つの論文を担当
投稿規定に合わせたフォーマット調整無料
消費税が不課税
TeX/LaTeXの追加料金なし
原稿の一部分だけの再校正ができない
エナゴのノーマル英文校正は短納期のプランが充実しており、7000語まで当日納品、10000語まで1営業日内の納品が可能となっている。他社と比べて、最短納期で頭一つ抜けているため、大ボリュームの原稿を短納期で仕上げたい場合には、良い選択肢となるだろう。
1500語以下の原稿では、長納期(日曜を除いて12日間)となる代わりに、比較表最安の4.5円/語で校正を提供している。ただ、アブストラクトなどの短い原稿で、2週間も待つことのできる人はそう多くはないだろう。現状では、最安価格を4.5円と表示する為のプランとなってしまっており、多くのユーザーには恩恵がないのが残念なところである。
また、他社には無いサービスとして、ポイント付与サービスが導入されている。校正料金5円ごとに1ポイントが付与され、100ポイント:10~25円の割引として使用できるようになっている。その他、機械学習アルゴリズムを使用したジャーナル選出サービス、ライティング・スタイル分析などがサービス無料特典として付随する。
再校正については、部分的な再校正サービスを提供していないため、原稿全体が料金の対象となってしまう点には注意が必要となる。
修士/博士号保有の欧米ネイティブによる校正
校正者によりスタンダード+αの校正が行われる
日本人コーディネーターが対応
消費税が不課税
全体再校正の割引がない
基本的にはMSワードでの受付となる
ケンブリッジの英文校正は、他社の様な多様なオプションはなくシンプルなサービス内容となるが、安価な価格帯で、欧米ネイテイブ・修士/博士号保有者による校正が約束されている。基本的には英語の言語面を中心とした校正となるが、エディターによっては、一部をリライトしたり、内容に関するアドバイスをするなど、より深いレベルでの校正が行われている。また、日本人コーディネーターが見積もりから納品段階まで対応を行っており、校正内容に関する質疑応答以外は日本語でやりとりをすることが出来る。
単語数のボリュームに依らず他社より安価な価格となっているが、特に2500語以下の特急サービス(1営業日内の納品)は破格で、他社の半額ほどの金額に設定されている。例えば、エナゴの場合、1営業日納品は12円/語となるが、ケンブリッジは6.75円/語で校正が可能となる。ただし、校正者を数百人規模で抱える同業者と比べて比較的小規模となるため、特定の時期に入稿が集中した場合には、短納期での校正が難しくなるケースも確認されている。
また、その価格設定ゆえ、単語数削減や規定に合わせたフォーマット調整が限定的であったり、基本的にはMSワードでの受付となるなどの制約も見られる。他社に出すときのように、全てを業者任せにするのではなく、予め単語数制限や投稿規定に合わせて調整を行っておこう。
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア出身の分野専門家による校正
消費税が不課税
最低料金が設定されている(9000円)
クレジットカード・PayPalでの支払いには+3%の手数料が必要。また、銀行振り込みでの支払いは海外送金となる
ユニ・エディットの英文校閲レベル1では、原稿の分野を学術的専門とするエディター(1人)によって校正が行われる。担当校正者は英語ネイティブで、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの4か国出身であることを明示している。
具体的な校正内容に関しては、ユニ・エディットの校正プランの中でも最安価格に設定されているため、スペル、文法、基本的な接続詞や語法のチェックと、かなりシンプルなものになっている。原稿中に明らかな誤りがないレベルにまで引き上げられるが、可読性を大きく高めるような校正ではない。そのため、ある程度の英語力があり、ジャーナル投稿の経験のある研究者が、最終チェックとして使うのが良いだろう。
英文校閲レベル2(7円/語)では、校正内容に文構造と一貫性のチェックが加わり、一般的なジャーナル投稿には十分な水準にまで改善が行われる。(意外なことに、このレベルの校正は、多くの数式があるようなテクニカルな原稿に適しているとのこと。)また、校正者2人、校正証明書発行可など、サービス内容が大きくアップする。英語力にはそれほど自信がないが、予算的にプレミアムレベルの校正が厳しいという場合は、こちらを選択することも考慮に入れたい。
大ボリューム原稿では、短納期プランの料金が割安
消費税が不課税
TeX/LaTeXの追加料金なし
フォーマット調整がプランに含まれない
小ボリュームの原稿では、他社に比べてかなり割高となる
AJEのスタンダード校正は、原稿のボリュームにより、1語あたりの単価が大きく異なっている。例えば、1500語の原稿を通常納期で校正した場合、1語あたり17.9円となるのに対し、7000語では7.17円/語となり、単価に数倍の差が生じる。小単語数の場合には、他社のプレミアム英文校正が利用できる単価となってしまうため、選択するメリットは殆どないと言える。
大ボリューム原稿の場合、これまで競合他社が霞むほどの格安単価(10000語で3.3円/語)となっていたのだが、料金改定や昨今の円安ドル高により、割安感がだいぶ薄れてしまっている。ただ、納期が短縮される「急ぎの注文」については、大ボリューム帯では短納期でありながら、比較的安価な料金設定を維持している。(例えば、15000語で4営業日、8.35円/語)
また、新規利用者に対しては、アブストラクトの無料校正を提供している(AJEウェブサイトのお問い合わせフォームから申請可)。新たな校正先を探している場合や、日本語論文に英文アブストラクトが必要な場合などには、試してみるのも良いかもしれない。