研究者のための英文校正比較

QuillBot

運営会社:QuillBot, Inc.

所在地:303 East Wacker, Suite 2101 Chicago, IL 60601, United States of America

サービス概要

QuillBotは自然言語処理とAIを活用したライティング支援アプリ。AIが文法チェック、パラフレーズなどを行い、意図した内容をより明瞭に表現できるように、文章を再構成してくれる。Rohan Gupta、Anil Jason、David Silin氏らにより、2017年に開発された。月間アクティブユーザーは700万以上で、現在40ヶ国以上で使用されている。


ウェブブラウザから使用するエディターのほか、Chrome拡張機能、Googleドキュメント・MSワードのアドオンが用意されている。

QuillBotのAI校正でできること

QuillBotのアカントを作成後、ウェブブラウザ上で全ての機能を使用することができる。「文法チェッカー」「パラフレーザー」「サマライザー」等から使用したい機能を選択し、ウェブエディター上にテキストをコピー&ペーストすれば、入力テキストのチェック/変換が可能となる。

⇒ 他社AI校正との比較

QuillBotのウェブエディター

Grammar Checker

Grammar Checkerでは、文法、スペリング、句読点の使用法のチェックを行うことができる。文法チェックをしたいテキストをウェブエディター上にペーストすれば、自動的にテキストのチェックが始まる。修正が必要な部分には赤線が引かれ、マウスカーソルを当てると、修正案がポップアップする。

修正候補には赤線が引かれ、マウスオーバーで詳細ウインドウが出る。

文法チェッカーはかなり優秀で、名詞の単数・複数の判別、動詞の語形変化、句読点の修正、不要な不定冠詞の除去、不定冠詞→定冠詞への変更は、同じ文章を校正した人間のエディターと重なる部分がかなり多かった。また、人間のエディターが見逃していたハイフンが要らない語、母音の前の”a”を修正するなど、人間のミスをカバーする箇所もあった。


逆に、定冠詞の挿入に関しては、他のAIアプリと同様、人間エディターとは重ならないケースが多く見られ、人間エディターが挿入しない箇所にtheを付けることが少なからず生じている。


別の語(名詞・動詞・形容詞)への変更サジェスチョンはあまり優秀ではなく、明らかに適切ではない語がサジェストされる場合もあった。専門用語を判定する機構がないためか、専門用語を分解して、その一部を、意味の似た単語で置き換えるといったことも起きている。


Paraphraser

Paraphraserは、パラフレーズしたいテキストを入力し、「Paraphrase」を選択すると、別の言い回しに変換してくれる機能である。ここでは、どういったパラフレーズを希望するのかに関して、「流暢」「フォーマル」「シンプル」「文章をより長く」「より短く」などからモードを選択する事ことができる。また、類語への置き換え度パラメーターを増減させることができ、どの程度別の文章へ変換するかを選択できる。(ただし、 変更度合いパラメーターを上げると、正確性は低下する。)


Paraphraserは、論文の類似性を下げる目的には極めて有用なツールである。ただ、無料版では、変更しない箇所を設定できず、フォーマルな文体を選択出来ない。そのため、元の文より分かりにくくなってしまったり、他の部分から浮いていると感じるケースもあった。もし上記目的でパラフレーザーを使用するならば、有料版の購読をお勧めしたい。


Summarizer

Summarizerは、入力されたテキスト内容のキーとなる点をAIが判定し、サマリーを自動作成してくれる機能となる。サマリーは、重要な部分を幾つかの箇条書きで示してくれるモード、パラグラフグラフとして纏めてくれるモードがある。


Plagiarism Checker

有料版のみで使える機能となる。既に出版された本や学術論文、ウェブ上のコンテンツなどと重なる部分がないか、チェックをすることができる。この機能は英語以外にも使用することができ、日本語、ドイツ語、中国語など、100以上の言語でサーチが可能となっている。ワード、PDFなどのファイルをアップロードすると、AIが剽窃度を判定し、評価レポートを送ってくれる。月に5000語までの利用が可能となっている。

剽窃チェック評価レポート

Co-Writer

Co-Writerは文法チェック、パラフレーズ、サマライズ等の全てを組み合わせて使用できる総合エディタ。編集したテキストはクラウド上に保存し、デバイス・場所を問わずアクセスすることができる。

クラウド上に保存したファイルを開く

また、Co-Writerでは、英文コンテンツの自動生成を行うことができる。AIにコンテンツを生成してほしい箇所で、右クリックメニューから「Suggest Content」を選ぶと、恐らく、論文内容、過去に学習した類似の文章などから、新たな文を幾つか自動で生成してくれる。サジェストに現れる文は「Suggest Content」を選択するたびに変化する。生成内容には突拍子もないものも含まれているが、内容を水増ししたい時などには、有用な選択肢となるかもしれない。

価格プラン

剽窃チェック以外の機能は、基本的に無料版で使用することができる。有料版との主な相違点は以下の通り。


無料版 プレミアム版
パラフレーザーに入力できる文は125語まで パラフレーザーの単語数無制限なし
パラフレーザーは「スタンダード」「流暢」モードのみ 「スタンダード」「流暢」「フォーマル」「シンプル」「クリエイティブ」「より長く」「短縮」モードが使用可
パラフレーザーの類語オプション3まで パラフレーザーの類語オプション4まで
パラフレーザーで無変更を希望する語は1語のみ選択可 無変更を希望する語を無制限に選択可
サマライザーは一度に1200語まで入力可 サマライザーは一度に6000語まで入力可
剽窃チェック使用不可 剽窃チェック使用可
(月間5000語まで)

プレミアム版価格表

1ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
19.95 USD/月 13.33 USD/月
(6ヶ月毎に79.95USD)
8.33 USD/月
(12ヶ月毎に99.95USD)